中山美穂さん(1994年)

 中山さんはヒットソングの多い歌手としても知られる。そして2002年6月、ミュージシャンで作家の辻仁成さんと結婚すると芸能活動を休止し、パリに移住。04年1月には長男を出産した。

「美穂さんが結婚したときは、ファンクラブもなくなっちゃいました。美穂さんは、私が行ったどこの会場でも息子さんについて話すことはありませんでした」(Aさん)

 そんな中山さんの結婚生活は12年間で終わりを迎えた。その後、50歳の誕生日(20年3月)は、中野サンプラザ(東京都中野区)でバースデーライブが予定され、Aさんも行くつもりでいたがコロナ禍の影響で中止に。中山さんが本格的に歌手としてのライブ活動を再開したのは22年ごろからだという。

「歌えることが本当に幸せ」

「ファンクラブも復活し、私も会員になりました。会員限定の『ダイアリー』で、美穂さんは『歌えることが本当に幸せ』と記していました。私たちは、コンサートで美穂さんからエネルギーをもらっているんですけど、美穂さんは『みんなの笑顔で元気をもらいました』と言ってくれていました。ファン思いなんです。ステージに立っていることが本当にうれしかったみたいで、どこの会場でも感謝の言葉を口にしていました」(同)

 12月1日、中山さんは「ビルボードライブ横浜」(横浜市)で2回の公演を行った。Aさんはその2公演とも聞いた。

「定員が300人の会場でしたが、チケットは完売で満席でした。美穂さんはステージの最後に『みんな、また来て下さいね。よい年末をお過ごし下さい』と言って……」

 そのときが、Aさんが中山さんの歌う姿を見た最後になった。

 6日、中山さんは大阪で午後5時半から2ステージを予定していた。2公演ともチケットを購入したAさんは新幹線で大阪へ向かった。

「ちょうど大阪に着いたところで公演中止の知らせが来て、それから間もなく、亡くなったことを知りました。まさかこんなことになるとは思いもしなかった。本当に歌手としてこれからというときに……」

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中山美穂さんが妹の忍さんと座っていた「指定席」