「WHAT CAFE」はフードメニューも充実。オムライスプレート(1000円)はフレッシュな自家製デミグラスでいただく

 ギャラリーと聞くと身構えてしまうが、「ここはマンツーマンで案内されることもないので、作品と向き合って自分ひとりの時間が過ごせるんです」(艸谷さん)。もともとアートに縁もゆかりもなかった艸谷さんだが、今はアートめぐり以上の楽しみが見つからず、この魅力をたくさんの人と共有するために、アートメディアとコミュニティを立ち上げたのだとか。

 アートは、その裏側にあるアーティストの価値観や新しい視点を知ることで、より深く楽しめるというのが艸谷さんの持論だが、その意味でも、作家本人が来場することも多い「WHAT CAFE」はお勧め。作り手とアートに出合うといいう「新たなカフェの楽しみ方」を味わえる場所だ。

梵寿綱の名建築 × Cafe MISSPONNE

ひかるさん(@hikarudon12):10代のころから建築に心惹かれ、休日はもっぱら建物・古道具・喫茶店をめぐる日々を過ごしてきた。写真は「マインド和亜」のパティオ。関係者以外立ち入り禁止だが、カフェ利用者は無料で見学できる

 不動産広報としても、インテリアコーディネーターとしても働くひかるさん。10代のころから建築にひかれていたという彼女が注目するのが、“日本のガウディ”と呼ばれる異色の建築家・梵寿綱(ぼんじゅこう)だ。梵寿綱建築のひとつ「マインド和亜」の1階、長らく空いていた場所にカフェがオープンしたと聞きつけ、すぐさま訪れたという。

 代田橋駅から徒歩10分。の閑静な住宅街のなかに突如として現れる「Cafe MISSPONNE(カフェ ミスポンヌ)」の外観は異空間そのもの。ひかるさんも「梵寿綱建築のなかでも、こちらは特に立体的な装飾や鮮やかなタイルなど、壁面のダイナミックさが特徴的」とお気に入りだ。

ひかるさんが気に入っているという「Cafe MISSPONNE」のエントランス部分。この雰囲気が「とにかく好き!」だと話す

 漆喰(しっくい)にタイルに木工と、各職人が手がけたアートに目移りしてしそうだが、ひかるさんのイチオシはエントランス部分。「このファサードの世界観と、後付けの店舗看板との調和が素晴らしいんですよね」。取材の日は、店舗看板の配色に合わせて服装をコーディネート。訪れる建築に合わせて洋服を選ぶのも、ひかるさん流の楽しみ方だ。

好みの紅茶が選べるCREAM TEA SET(1200円)。この日は、オリジナルブレンドの「ミスポンヌ」を選んだ

 近隣には梵寿綱建築がもう一棟あるため、代田橋は建築めぐりのコースとしても優秀なのだとか。大人のサロンとしても活躍するカフェには、心ときめく建築と優雅なティータイムが待っている。

(構成 生活・文化編集部  写真 橋本千尋 古根可南子)

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