
大阪での4年間の単身赴任を終えた主人が犬を飼いたいと言いだした。2人の息子も独立し、夫婦2人の生活が始まるのを少々不安に感じていた私も賛成した。
6年前の2月、生後3カ月の赤毛の雌のトイプードルがやってきた。主人がマリ(写真)と名付けた。
近所の犬はプリン、メロン、マロンにチョコとおいしそうな名前が多かったから、マリは人間っぽくていい。息子ばかりのわが家に、娘が誕生したみたいだ。
主人が毎朝、出勤前に公園まで散歩させていたら、いつの間にか早朝の犬友達ができ、ご近所に知り合いが増えた。思わぬ副産物だった。
マリは(飼い主に似て?)上品な犬で、餌にがっつくようなことは絶対にない。
犬友達がマリにおやつをくれても、気に入らないと口にくわえて2メートルほど運び、ポイと捨ててしまう。それを他の犬が矢のように走ってきて食べる、と主人は得意げだった。
家でも餌が大きいと「お口に入りませんわ」というように食べようとしない。その上、気に入ったトッピングがないと、餌の匂いをかいだだけで後ずさりして行ってしまう。
また、マリは人が来たとき以外はほとんど吠えず、無駄吠えがほとんどない。そして、おなかがすくと私の口をなめに来て、「ゴワーン」と鳴く。嘘ではない。
3年前に、主人の退職とともに長野のド田舎に越してきた。畑や田んぼの間を抜けて千曲川沿いを散歩するのが日課である。
私たちが野菜を作っていると、畑の中を泥だらけになって走り回り、高台から河原に向かって遠吠えのように思いっきり吠えている。
都会にいたときは犬友達から「マリ姫」と呼ばれていたが、こちらに来てからは「マリっぺ」と呼ぶのがふさわしい気がしている。
(新海敦子さん 長野県/61歳/主婦)
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