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 ときに衝突が避けられないことがあるカップルや夫婦の関係。パートナーと良好な関係を築くにはどうすればいいのか。AERA 2024年12月2日号より。

【スッキリのアフター】コレで夫婦ゲンカが減りました!

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「人とのコミュニケーションにおいては『怒ったら負け』だと思っているため、あまり怒りを表に出すことはありません。ただ、夫婦間ではそうはいきませんよね。そのため、夫になにか不満を言いたいときは『どうしてやってくれないの!?』と頭ごなしに否定するのではなく、自分の主張を“踊りながら”伝えています(笑)。あまり物事をシリアスにはしたくないんです」

 そう話すのは、東京都の結婚2年目の女性(33)だ。

「私の母親が感情的になるタイプだったので、そのようなコミュニケーションはパートナーとは取りたくないと思っていました」

 だから編み出した“踊りながら”のコミュニケーション。そのおかげで普段から夫婦げんかはほとんどしないそうだが、根底には「夫は他人」という距離感があるという。

「小さな話ですが、夏場にペットボトルの水を夫が冷蔵庫に入れてくれなかったことがあったんですよ。一瞬ムッとしたのですが、よくよく考えたら『冷たい水を飲みたいのは自分だけかもしれない』と思ったんです。いくら夫婦とはいえ、それぞれ異なる家庭で育ってきた他人なので、あまり期待していないんですよ」

有効な“Iメッセージ”

 一見ドライにも思える「夫は他人」というスタンスだが、そこから編み出された“踊りながら”のコミュニケーションは、感情のぶつかり合いを避けるために、とても有効なようだ。

 これまでカップルや夫婦たちのセックスレス、不貞、コミュニケーション不和、モラハラ、離婚など、さまざまな悩みを数多く聞いてきた「カップルセラピーCOBEYA」のセラピスト・坂崎崇正さんはこう語る。

「攻撃的に聞こえるか、お願いに聞こえるかで、コミュニケーションの質は大きく変わります。相談者によく提案しているのは『YouメッセージとIメッセージ』。『あなた(You)、何でこんなことをするの?』という言葉は相手を傷つけやすいので、代わりに『私(I)はそのやり方をされたら困る』と言い方を変えることをオススメします。日本人、特に男性は自分の感情をうまく表現できない傾向がありますが、ロールプレイのように主語を『私(I)』にして話す練習をすると、パートナーに対するヘイトが和らぎ、関係が改善することも多いですね」

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