この後、棚橋は度重なる故障など紆余曲折あった。復活を期してタイトルに挑戦するたびに、オカダやその他挑戦者から「IWGPは遠いぞ」と、逆にこのセリフを投げつけられることになる。ある意味、新日本復活を象徴する名言ともいえる。

 テレビの影響もあり、過去の名、珍『問答(やり取り)』が注目されるようになった。

「僕は自分の明るい未来がみえません!」(鈴木健三・現KENSO)を生み出した『猪木問答』。

 横で聞いていた蝶野正洋も笑ってしまった「時はキタ!」(橋本真也)。

 テレビ朝日アナウンサーとのやり取りを繰り広げた『大仁田劇場』。

 冒頭の『コラコラ』以外にも、世間を巻き込んだ『問答(やり取り)』は数えきれない。プロレスの面白さや深みの無限大の可能性が見えてくる。

 素人が真似できない鍛え上げられた肉体、極限の技術と受け身、そして激しいリング上の戦いはプロレス最大の見せ場。同時に『問答(やり取り)』など、ファイト以外でも楽しめるのもプロレスの良さ。今後も数多くの歴史的『問答(やり取り)』が生まれて欲しい。(文・山岡則夫)

[AERA最新号はこちら]