郵便なども同様だ。人口が半分になれば郵便の数量は半分になるが、郵便の対応エリアを半分にするわけにはいかない。僕らの生活を支える仕事には、人数に比例する部分もあれば、面積に比例する部分もある。
高齢化によって生産年齢人口の割合が減ることも問題だが、絶対数が減ることもダブルパンチで効いてくるのだ。
これまでの経済政策では、労働力の制約をあまり考えなくてもよかった。景気を良くするためには、どれだけ消費を増やすか、企業の設備投資を増やすかということを考えればよかった。ムダだろうとなんだろうと、仕事を増やした方がよかった。
しかしながら、労働力の制約が大きくなると、全く違う世界がやってくる。過去のデータを持ち出して、「ムダな仕事でもなんでも政府がお金を使えばいいんだ」というのは無理筋だ。
ムダな仕事を増やすと、必要な仕事に回る人材が確保できなくなる。ムダな仕事を増やすくらいなら、お金をそのまま配ったほうがまだマシだと思うのだ。
※AERA 2024年11月25日号