「コンビニ百里の道をゆく」は、ローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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私たちの日々の生活で、もはや欠かせないSNS。そんな中、オーストラリアでは16歳未満の子どもによるSNS利用を禁止する法案が議論になっているようです。
さて、この問題を日本の私たちはどう考えるか。非常に重要で、かつ悩ましいテーマだと感じています。
SNSにも、正負両面あります。その「負の側面」が大きくなりすぎるなら、大人が介入する選択肢もあるでしょう。
感受性が最も豊かな年代に、「SNSだけ」で情報を得て成長していくのはもったいない。リアルな生活の中での遊びや部活動などを通じて「本当の社会生活」を体得していってほしいと思います。
「自分の世界に入り込む」体験も、想像力を育む上で子どもの頃には大切です。有効な手段の一つが、紙の本を読むこと。嫌なことがあったとき、その世界に入ることで助けてくれるのも紙の本。そんな時間がSNSで削られるのは惜しいことだと私は思います。
一方で、SNSにはもちろん良い面もある。インドに出張に行った際、子どもたちに「日本について知っていることは?」と聞いてみたのですが、実によく日本のことを知ってるんです。コンビニについても「インドでも有名ですよ」と答えてくれました。
彼らは日本に行ったことがない。でもそんな情報をSNSから得ることができている。素晴らしいことですよね。
SNS上には間違った情報もあるでしょう。でもその「間違ったもの」に触れる中で、勉強して正しいものが何かを見極める。それも一つの経験、と言えるかもしれません。
子どもたちがSNSとどう付き合っていくか。でも「それだけ」にはならないように、リアルな世界ともどう付き合っていくか。そこの難しいバランスを個々人が総合的にマネージできるようになる。そのための教育プログラムも大事になってくると思います。
※AERA 2024年11月25日号