「AERA dot.」に最近掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は10月13日に「AERA dot.」に掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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中日は球団史上初の3年連続最下位で、立浪和義監督の退任が決定。井上一樹2軍監督が内部昇格して新監督に就任することが決まった。首脳陣も刷新されることになり、片岡篤史ヘッドコーチ、落合英二投手兼育成コーチ、和田一浩打撃コーチ、大西崇之外野守備走塁コーチ、上田佳範打撃コーチが今季限りでチームを退団することが報じられた。
「立浪監督だけでなく、コーチ陣も責任を感じていました。ただ、低迷期は立浪監督以前からずっと続いています。首脳陣を刷新したからと言って、状況が上向くかと言ったらそうではない。現場の力だけでは勝てません。戦力補強、ドラフト戦略など球団フロントが見直すべき点は山積みです」(名古屋のテレビ関係者)
チームの未来は決して暗くない。投手陣では高橋宏斗、松山晋也、清水達也、野手では岡林勇希、石川昂弥、村松開人、福永裕基など、立浪監督の下で頭角を現した若手たちは多い。その代表と言えるのが細川成也だ。DeNAでは1軍に定着できなかったが、22年オフに現役ドラフトに中日に移籍すると大ブレーク。昨年は140試合出場で打率.253、24本塁打、78打点をマーク。相手バッテリーのマークが厳しくなった今季も全143試合出場で打率.292、23本塁打、67打点と確実性が上がっている。
細川を覚醒させた打撃理論
この細川の才能を覚醒させた指導者が、和田打撃コーチだった。2月の春季キャンプから付きっきりで細川に助言を送る姿が見られ、シーズンに入っても、打撃練習を見守ってコミュニケーションを取っていた。
DeNAの関係者は驚きを口にする。
「細川は環境が変わったことが活躍の要因としてフォーカスされますが、それだけではない。DeNAの時はボール球に逃げる変化球にバットが止まらず、泳ぐような形で空振りを繰り返していた。球を遠くへ飛ばす能力は目を見張るものがありますが、打てるゾーンが限られているので1軍では厳しかった。でも、和田さんの指導を受けてガラッと変わった。ミートポイントを手元まで引き付けることで変化球を見極められるようになり、多少差し込まれてもリストの強さで押し込んで長打性の打球を打つようになりました。和田さんの打撃理論がハマったのでしょう。まだまだ粗さはありますが、技術面での成長は目を見張るものがあります」