ダルビッシュ 有:家族の事情などで2カ月戦列を離れ、今季は16試合登板だったが、ポストシーズンではドジャースを最も苦しめた。日米通算200勝は通過点。飽くなき向上心と高い投球技術は若手のお手本だ(写真:AP/REX/USA TODAI Sports/ロイター/アフロ)

 千賀滉大(31、メッツ)はメジャー移籍1年目の昨年に12勝を挙げたが、今季は右肩の張り、左ふくらはぎ痛と度重なる故障でシーズンは1試合登板のみ。ポストシーズンでもリーグ優勝決定シリーズ第1戦のドジャース戦に先発登板したが、2回持たず3失点KOと本来の力を発揮できなかった。村上さんは千賀についてこう話す。

「投げられない状態が長かったし、悲観する必要はありません。コンディションを整えてある程度イニングを重ねれば、10勝はできる。ただ、見せ球にする変化球を新たに覚えた方がいいかなとは感じます。直球、フォークへの依存度が高いとどうしても配球が手詰まりになる。『第3の球種』を有効に使えば投球の幅が広がると思います」

 昨季は主に救援で64試合登板した藤浪晋太郎(30)は、メジャー登板なしに終わった。「コントロールがね……。試行錯誤していると思います。上体の力が強い投げ方なので、もう少し足腰を鍛えた方がいいかなと感じます。僕も現役時代にコントロールが悪くなった時期があつたけど、ランニング、腹筋、背筋のトレーニングをして、腰、膝で投げる感覚を染み込ませたら制球力が改善しました。投球は下半身の動きからスタートして、上半身に連動してくる。藤浪投手の能力は凄いですし、速い球を投げられるのは大きな才能です。頑張ってほしいですね」とエールを送る。

 野手は吉田正尚(31、レッドソックス)が108試合出場で打率2割8分、10本塁打、56打点とメジャー1年目の昨年より成績を落とした一方で、鈴木誠也(30、カブス)は打率2割8分3厘、21本塁打、73打点と日本人右打者でメジャー初の2年連続20本塁打を達成。「大谷選手が54本塁打を打ったので目立たないけど、もっと評価されていい選手だと思います。広角に長打を打てるしボール球をきっちり見極められる。メジャーでプレーする日本人野手は少ないですけど、吉田選手と共に頑張ってほしいですね」と期待を込める。

 村上さんが後輩の日本人メジャーリーガーたちに送るメッセージは、異国で挑戦することに対する敬意、愛情であふれていた。来年から新たにメジャー挑戦する日本人選手を含め、来季の活躍が楽しみだ。(ライター・平尾類)

AERA 2024年11月18日号より抜粋

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