「106万円の壁は、最初は従業員数501人以上の事業所に勤務する人が対象でしたが、101人以上になり、24年10月から従業員51人以上に引き下げられ、さらに厚生労働省は壁そのものをなくすことを検討しています。つまり、パートなどで働くすべての人に社会保険料を課そうとしている。厚生労働省はその分、将来受け取れる年金が増え、医療保険の保障が手厚くなるなどのメリットがあると主張していますが、目先の手取り収入が減って困窮する家庭が増えかねない」(前出の荻原氏)
ずっと廃止を検討
加えて、基礎および給与所得控除以外の控除枠は縮小ないし、廃止される可能性があることに注意が必要だという。
「24年度税制大綱では16~18歳の子どもがいる家庭に適用される扶養控除が縮小され、所得税控除額の38万円が25万円に、住民税控除額の33万円が12万円にそれぞれ引き下げられ、実質的な増税が進みます。さらに配偶者控除(最大48万円)と配偶者特別控除(最大38万円)に関しても、『働く女性の意欲をそぐ』という理由でずっと廃止が検討されています。こうした控除枠の縮小の代わりに、政府は『手当てを出すから手取りは変わらない』といいますが、控除と異なり、手当てはいつでも縮小できるもの。実際、過去には児童手当の削減も検討されました。今回、国民民主党案が採用されたとしても、財務省はほかの控除枠や手当ての削減を通じて税収減をカバーしようとするのは間違いありません」(同)
減税が実現しても……水面下で進む「ステルス増税」に要注意!
(ジャーナリスト・田茂井治)