本当に手取り収入は増えるのか? 国民民主党が提案する「103万円の壁」の引き上げが注目を浴びている。
この壁は周知のとおり、給与収入から差し引くことができる48万円の基礎控除と、給与額に応じて変動する最大55万円の給与所得控除の合計だ。収入が103万円を超えると所得税がかかるため、親の扶養に入っている学生などから“越えてはならない壁”として認識されてきた。
「バイトしすぎると自分だけでなく親の税負担も増えるようで、月のバイト収入は8万円。奨学金でさらに月8万円もらってますけど、仕送りなしなんで、一人暮らしだとカツカツです。服代と遊ぶカネはスロットで稼いでます(編集部注:スロットによる収入に関しても一次所得ないし雑所得として申告の必要あり)」(20歳・都内在住の大学生)
10万円以上の税負担
18~23歳の子供を扶養している親の場合、子供の収入が年間103万円を超えると特定扶養親族の控除(63万円)が使えなくなる。所得税と住民税合わせて、ざっと10万円以上の税負担が発生するかたちだ。
国民民主党は、この103万円の壁を178万円に引き上げることで、働く時間を短くする労働調整を解消し、インフレが進む中で押し下げられる傾向にある可処分所得の増加を図ろうとしている。
引き上げ額の根拠は、控除枠が103万円になった1995年以降の賃金上昇率だ。東京都の最低賃金が30年で1.73倍に上昇しているため、控除枠も1.73倍の178万円に増やすのが妥当としている。