画廊の街・銀座で新人の登竜門として知られ、50年の歴史に幕を閉じたみゆき画廊。アシスタントとして先代オーナーとともに画廊を守った著者が、運営に試行錯誤を繰り返した「ベイリィ」こと加賀谷澄江の生きざまを綴る。
 人気の貸画廊で、若く、才能のある芸術家を応援する気持ちがあった。資産家の令嬢だったが資金繰りは自転車操業。建築家に「ここで、画廊のマダムみたいなことをやろうとしているの?」と冷やかされると、「日本の建築家がもっと美術のことを勉強して、建築に美術を使ったらどうなの」と言い返し、パソコン操作に行き詰まる著者のためには、「あなた、ちょっと来てくださらない?」と近所の書店にいた男性を連れてくる。作家らが素っ気なさの中に好意を感じ取ったという、凛とした人柄が偲ばれる。

週刊朝日 2016年7月8日号

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