日本維新の会の代表選(11月17日告示、12月1日投開票)に、維新の共同代表である大阪府の吉村洋文知事が立候補することを表明した。“大本命”の出馬表明に、維新内では告示前から「もう吉村知事で決まり」というムードが漂うが、吉村知事は維新にとって“最後の切り札”だった。衆院選に大敗し、切り札を出すことになった維新は、党勢を回復できるのか。
【写真】代表選に不出馬で身を引くことになった維新の馬場代表と藤田幹事長
11月12日、代表選への立候補表明の会見を開いた吉村知事は、
「共同代表として選挙結果に責任を負う立場であり、代表選に立候補することが是なのかという思いがあり、悩んだ」
と述べながら、立候補する理由について、こう話した。
「非常に強い危機感に基づくものです。国政政党としての維新の存在意義が揺らいでいるのではないか、見えにくくなっているのではないか。維新にはどういう存在意義があるのか、維新がどうして必要なのか、代表選を通じて訴えたい」
10月の衆院選で、維新は大阪の小選挙区では19選挙区すべてで勝利したものの、全国では議席を公示前の44から38へと6減らし、比例の得票も前回衆院選から300万票近く減らした。
当初、維新の馬場伸幸代表は、
「与党を過半数割れに追い込んだ。維新がその一翼を担った」
と選挙結果にご満悦で、早期の代表選は必要ないという考えを表明していた。
だが、衆院選大敗の危機意識が薄い馬場代表や藤田文武幹事長ら執行部の「大阪組」に、東徹衆院議員、浅田均参院議員ら「国政組」がかみついた。
選挙後の国会議員団役員会で、浅田氏は、
「大惨敗の責任を取って辞意を」
と馬場代表と選挙責任者である藤田幹事長に辞任を要求。
国政組ではないが、共同代表の吉村知事も同調するように、
「他の野党が躍進する中で、維新は一人負け。非常に厳しい結果だ」
と述べ、早期の代表選が必要だという考えを表明した。
馬場代表は事実上の「不信任」を突きつけられた形で追い込まれ、10月31日の常任役員会で早期に代表選を開催することを決めると、11月6日に、自らは代表選に出ないことを表明した。また、一時は代表候補とされた藤田幹事長も出馬しない意向だ。