「吉村知事が出なければ東衆院議員が出馬した」
ここまでは、「東氏ら『国政組』の筋書き通りだった」と話すのは、維新の国会議員A氏。
「馬場氏が代表選に出ないのならば、東氏が代表にもっとも近いと、多くの維新の国会議員や地方議員は感じていた」
とA氏は言う。
東氏は馬場代表と大阪府議時代からの仲間で、維新の創成期から関与している。2022年に松井一郎前代表の後任を決める代表選が行われた際、馬場氏の対抗馬として立候補に意欲的だったのが東氏だった。しかし、松井氏が馬場氏を「後継指名」するような言動があり、東氏は立候補を断念した。
「それだけに東氏は、今回こそという気持ちは強かった。ただ一つ危惧していたのが、国会議員ではない吉村知事が代表選に出馬することだった。馬場代表を引きずり下ろすことまでは成功したが、吉村知事の登場で、対応に苦慮したようです」(A氏)
維新の代表選には、空本誠喜衆院議員(広島4区)、松沢成文参院議員(神奈川選挙区)、金村龍那衆院議員(比例南関東)も出馬の意向を表明している。しかし、維新内部では知名度抜群の吉村知事が出馬すれば代表選は決まりという声が大半だ。
吉村知事より前の9日に出馬会見をした空本氏も、
「吉村知事が出れば代表選は決まったも同然。それでも吉村知事が出馬して、無投票や大阪のみの代表選となれば、この党には未来がない。それは絶対に回避しなければ」
と、無投票にならないための立候補だと話していた。
吉村知事は22年の維新の代表選でも推す声があり、出馬が取りざたされたが、
「大阪府に専念したい」
と出馬しなかった。
今回も吉村知事に立候補を求める声があるなか、「熟慮している」と言って表明が遅れたが、ついに立候補を決断した。
A氏は言う。
「吉村知事が出馬しなければ、東氏が名乗りをあげたでしょう。吉村知事が出るなら東氏は見合わせるということで、大阪組と国政組の調整がついたということですよ。吉村知事以外が相手なら、東氏に十分勝機はありました。ただ、吉村知事が出れば、圧倒的な発信力、知名度の差で、東氏がいくらあがいてもぼろ負けですよ。それなら、吉村知事と戦わず、その次を狙ったほうがいいという選択をしたようです。吉村知事は国会議員ではないので、直接国政に関与できない。東氏、浅田氏のどちらかを国会議員団のトップにという考えでしょうね」