冬眠に向け、動きを活発化させている
カメムシの侵入経路は多岐にわたる。白い色に寄って来る習性があるため洗濯物にくっついたまま取り込まれてしまうこともあれば、室内の明かりに誘われて換気扇やエアコンの室外機を通じて入って来ることもある。窓を閉め切っていても、サッシに2ミリ程度の隙間があれば通り抜けられるため、工場のような衛生管理に厳しい施設であっても侵入を完全に防ぐことは至難の業だ。
周囲に野山や畑などの緑がなくても、油断はできない。カメムシは、街なかの公園やベランダのプランターにも住みついており、マンションをはじめ都市部の建物で被害が出ることもあるという。
さらに厄介なことに、冬へと向かうこの時期、カメムシたちは冬眠に適した暖かな場所を探して、動きを活発化させている。前出の星野さんによると、「部屋によくカメムシが出る」という相談を受けて天井裏を確認したところ、何十匹ものカメムシが集団で身を寄せ合っていたケースも少なくないという。
「天井裏が発生源であれば、くん煙タイプの殺虫剤をまいて駆除します。ただ、卵を産みつけられていた場合、卵に殺虫剤は効かないので、翌年の春にいっせいに孵化(ふか)して再び大量発生が起きてしまう。秋に駆除したら、幼虫が出てくる春にもう一度駆除することがポイントです」
自分でできる対策としては、窓枠など「2ミリの隙間」がありそうな場所に忌避剤をスプレーしておくのが効果的だ。それでも部屋の中で見つけてしまったら、なるべく刺激を与えずに回収すること。カメムシは危険を察知すると、威嚇(いかく)として悪臭を放つ。その臭いは自らがショック死することもあるほど強烈なため、他の虫同様に掃除機で吸おうものなら、掃除機内に臭いが染みついて二度と使い物にならなくなる。ガムテープなどでそっと捕獲し、密閉して処分するのが得策だ。
人間にとって困った習性をいくつも持つカメムシ。大量発生した今年にこそ、しっかりとした対策を実践しておきたい。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)