ここに並ぶのは、骨密度を増やす働きがある薬剤、カルシウムの吸収を促進する薬剤、骨形成を促進して骨折のリスクを減少させる薬剤だ。これらは全て骨粗鬆症の治療に使用される(撮影協力:善方さん/撮影:古川雅子)
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「AERA dot.」に最近掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は10月5日に「AERA dot.」に掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【図表を見る】「『骨活』に重要な三つのタイミング」はこちら

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 女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が低下する更年期。症状・障害だけでなく、骨量低下にも目を向けたい。AERA 2024年10月7日号より。

 エストロゲンが枯渇した状態が長期間続く時期。最も警戒すべきなのは、骨粗鬆症だ。

 グラフを参照いただきたい。エストロゲンの急激な分泌低下と同様のカーブで、閉経後に骨量もぐっと減っている。エストロゲンが足りなくなることで骨代謝の「破骨細胞」が暴走するのが原因だ。

 更年期障害と骨粗鬆症を専門とする産婦人科医の善方裕美さんは、ライフステージを見据えた長期的な骨粗鬆症予防である「骨活」が欠かせないと助言。ポイントとなる三つの時期があると言う。

 一つ目は10代の成長期。成長のカーブが最大に上がっていく過程で必要十分な骨量をしっかりと獲得していく。

 二つ目は20、30代。この時期はエストロゲンもピークに達する。この時期に良好な骨量を維持していくことが、将来の備えとして大きいという。

 そして三つ目が更年期。急激な骨量低下を防ぐことで、骨折などのリスクに備える。

 こうした背景から、善方さんは、40代から食事に気をつけることが大切だと説く。

「カルシウムを1日に700ミリグラム程度は摂取したいところ。ビタミンDも重要で、1日30分くらいは日光に当たれるといいですね。もう一つ忘れないでほしいのが、ビタミンKの摂取。これは納豆と緑黄色野菜でとることができます」(善方さん)

 更年期はこうしたセルフケアも大事な要素になってくる。

 ただし、AERAのアンケートでは更年期症状があっても受診を控えた理由として、「我慢しようと思えば我慢できる程度の症状だった」という声があった。善方さんは、困ったら迷わず、日本女性医学学会が認定する女性ヘルスケア専門医のいる医療機関や更年期の専門外来などで相談してみることを勧める。

「更年期症状の場合は『個人の感じ方』が大事。つらいのは自分のせいではなく、更年期のせいです。だから、我慢はしなくていいんですよ」

(ジャーナリスト・古川雅子)

AERA 2024年10月7日号より抜粋