TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽や映画、演劇とともに社会を語る連載「RADIO PAPA」。今回は映画「Back to Black エイミーのすべて」について。
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そこに行かなければ見えない人生の風景というものがある。だから人は旅をし、本を読み、映画館の暗がりを巡る。ライブや演劇もそう。見たいものは、そこにかつてあった絶対的な「愛」だったりする。
27歳でこの世を去ったディーバがいた。2011年にアルコール依存症で。イギリス・ミドルセックス州生まれのシンガー・ソングライター、エイミー・ワインハウスのことだ。
16歳で演劇学校を退学になり、音楽に目覚めた彼女は、このほど公開の伝記映画「Back to Black エイミーのすべて」でこう言っている。
「有名になりたくて音楽を作ったんじゃない。他に何をすればいいか、わからないから」
そして彼女は恋をする。音楽を作り、歌う意味を見つける。それはパブで出会った「彼=ブレイク・フィールダー・シビルへの愛」だった。
ワインハウスの楽曲はヒットチャートを上昇、そのハスキーボイスは世界中のラジオ局でオンエアされ、アルバム「Back to Black」はグラミー賞を受賞し、1600万枚以上のセールスを達成する。