高知新聞が10月29日に報じた教員採用をめぐる記事が、教育関係者で話題となっている。採用試験に合格した人のうち、7割が辞退したという内容だった。こうした傾向は高知だけではないようだ。指摘されて久しい教員の過酷な労働環境。「なり手不足」は深刻さを増している。
記事によると、高知県教育委員会は、2025年度の小学校教員の採用について、合格通知を出した280人のうち、7割を超える204人が辞退したと発表した。採用予定人数は130人だったといい、13人の追加合格を出した。さらに12月に2次募集をする方向だ。
これだけの規模で人数不足が起きたことに、高知県教委も大騒ぎとなっているかと思いきや、担当者は「7割の辞退率はある程度見込んで(採用を)行いました」と冷静に話す。7割という辞退率は、ここ3年間は横ばいなのだという。
高知県の25年度の教員採用試験は、1次試験の日程が全国で3番目に早い6月1日に実施された。
「より多くの人に受験してもらえるよう、高知県の教員採用試験は本州にも会場を設けている。“滑り止め”として受験してくる人もいる」と担当者が語る。
高知県の昨年の公立小学校の教員採用は定員に満たなかったため、追加合格の発表を3回出した。それでも定員に満たず、12月に2次募集をしてようやく確保できたという。
担当者は「辞退率が7割というのは痛い。今年も2次募集を行うことになる」としつつも、「辞退率が高い背景には、教員の労働環境など複数の問題がある。高知県としてICT(情報通信技術)の導入などを進めており、労働環境改善に乗り出しています」と話す。
鳥取県でも採用者辞退が半数超え
採用辞退の規模が大きいのは高知県だけではない。鳥取県でも今年6月に行った公立の小中高校・特別支援学校の教員採用試験で、合格した327人のうち半数を超える174人が採用を辞退している。
関東地方にある公立小学校の30代男性教員は、高知県教委の「滑り止め」との発言に、「(私が受験した7~8年前では)そういうことはあまりなかった」と話す。