村岡大樹さん(むらおか・だいき)/1987年生まれ。外資系製薬企業で働きながらコーチングを始める。22年GOAL-Bに参画。23年、代表取締役CEOに就任(写真:本人提供)
この記事の写真をすべて見る

 2017年にユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた「人生100年時代」。それから7年、身の振り方に悩む中高年世代は少なくないだろう。変化への一歩を踏み出すにはどうすればよいか。識者に聞いた。AERA 2024年11月4日号より。

【図表を見る】「金融庁の『ライフプランシミュレーター』で家計収支をシミュレーションしてくれる」はこちら

*  *  *

 中高年世代のライフシフトについてアドバイスをくれたのが、認知科学コーチングや組織コーチングを展開する「GOAL-B」の代表取締役CEO村岡大樹さんだ。

「人生100年時代にもっとも求められるのは、いかに自分の価値観で生きていけるかということ。ただし、20代30代の若い人のなかには、その価値観を簡単には見つけられない人も多いんです」(村岡さん)

 若い世代へのコーチングでは、その人が今の時点でやりたいことや、こういうふうに生きていきたいという希望を現状を抜きにして引き出す。そして、その人自身が考える「現状の外側」のゴールに向かえるよう、転職、副業、起業などの決断をコーチングしたり、実行に移したあとの伴走などをするそうだ。

 また年齢にかかわらず、誰にでも共通して幸福度の高い仕事になりうるのは、自分が本当にやりたいことで人に喜んでもらえる仕事だ。

「自分の商品を買ってくれたお客さんが、その商品で喜んでくれる。人の役に立てる。そういう体験が働くことの幸福感に繋がっていくということを、アーリーリタイアをした知人の話を聞いたり、クライアントさんの話を聞いていると感じます。またそれを感じることができているのは、30代までにさまざまな仕事を経験してやりたいことに近づいていった人が多い。大企業なのか、ベンチャーなのか。営業なのか、技術職なのか。経験すれば自身の価値観も、道筋も見えてくるはずです」

 一方、中高年の場合は、すでに使い慣れた脳の神経回路を見直すことから、人生100年時代の新しい価値観を手に入れることができそうだ。ただし中高年の場合、例えば副業を始めるというゴールひとつにしても、何十年やってこなかった脳の使い方を強いられる。そこで、コーチングの場でたずねるのが、本当はやりたかった仕事だ。

次のページ
ゴールへの一歩を