たとえば、「資金調達」「債権回収」という単語を使う際には、「資 金 調 達」「債 権 回 収」といった具合に一文字一文字にわけて、単語として認識されないようにする。

「ルフィ事件などで『UD』や『叩き』などの隠語が広まってしまい、闇バイトとばれてしまうので、今は言い換えるようにしているようです。簡単な言葉を使ってだますようになっています」

 そう話すのは、特殊詐欺の主犯格として懲役5年4カ月の実刑判決を受け、服役した経験がある犯罪撲滅運動家でユーチューバーとしても活動しているフナイム氏(44)だ。

フナイム氏=本人提供 

「殺すぞ」などの脅しも

 今月、横浜市青葉区の住宅街で75歳の男性が手足を縛られ、暴行を受けて死亡した事件では、強盗殺人の疑いで逮捕された宝田真月容疑者(22)が、「初めて闇バイトに応募した」「『ホワイト案件』という投稿をSNSで見つけた」と供述している。

 この「ホワイト」は、「闇バイトではない」と思わせるために、犯罪グループが募集の際に入れるようになった言葉だ。なかには、本当に普通のバイトに使っているケースもあるかもしれないが、闇バイトである場合が多いとみられる。

 また、闇バイトは1日で5万円、10万円、さらにはそれ以上と高額報酬をうたっていることが多い。最初から「ヤバい仕事」とわかっていて応募してくるケースも多いという。

 そして応募後は、秘匿性の高いチャットアプリ「テレグラム」「シグナル」などに誘導されることがほとんどだ。そこで直接やりとりし、住所のほか、学校名や勤務先、家族構成から実家の住所まで記入を求められ、免許証を持っての自撮りなどもさせられるという。

 フナイム氏は「テレグラムやシグナルなどでのやりとりを提案してきたら、まずは疑わなければいけない。この時点で一連の情報を送ってしまったら、取り返しがつきにくくなる」と警告する。

 仮に辞めたくなっても「自宅が割れている」「免許証の自撮り写真をネットにばら撒く」「殺すぞ」などと脅される。実際にネット上に、「この人闇バイトに関わっています」と免許証の自撮り写真を無断掲載されたり、監禁や暴行されたりしたケースも少なくない。

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闇バイトを途中でやめたグループの一員を集団で暴行