こうした「霞が関文化」を肌で知る強みが、政策提言の即戦力として生かされてきた。
法律や予算で国を動かす権限を持つ官庁。だが、霞が関の中にとどまっていると、裁量の自由度を失う面も否めない。
「官僚の世界は完全なトップダウン。幹部になれば、自分が行いたい事業ができるかもしれませんが、それまでは官邸が決めたことや大臣の指示など、上から降りてきたことをいかに着実にこなすかでいっぱいいっぱいです」
だから、と米田さんはこう続けた。
「霞が関の外に出たほうが、社会を変えやすいというのが私の実感です」
とはいえ、官僚経験があったからこそ、政策提言のノウハウを身に付けられたのも事実。リボルビングドアが広がる意義について米田さんはこう話す。
「官と民の両方を知ることで、お互いの気持ちが分かった上で本当に必要とされる政策を効率よく作れる、という確信はあります」
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2024年10月28日号より抜粋・加筆