晩さん会を前に、記念撮影に応じる天皇、皇后両陛下とチャールズ国王夫妻 
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 海外の賓客をもてなし、家族とのひとときを楽しむ。さまざまな人と食卓を囲む皇族方の「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2024年8月15日に掲載された記事の再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

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 天皇、皇后両陛下を迎えての「全国戦没者追悼式」が終戦記念日の8月15日、日本武道館で開かれた。国民の幸せと平和を願い続ける姿勢を改めて示された両陛下。そんなお二人の姿を、6月の両陛下英国訪問の際の国王王妃主催の晩さん会で目にし、感銘を受けたという英国在住の女性がいる。日本を離れて30年が経つという“寿司シェフ”の佐藤美穂さん(53)。両陛下と対面したときの感動は、言葉では表せないようなものだったという。
 

 佐藤さんは、英国の5つ星ホテル「マンダリン オリエンタル ハイド パーク ロンドン」内にある高級居酒屋「The Aubrey(オーブリー)」で、厨房を取り仕切る“ヘッド寿司シェフ(寿司部門の料理長)”を務めている。

 6月7日、佐藤さんはホテル担当者を通じて不思議なメールを受け取った。差出人は「BUCKINGHAM PALACE(バッキンガム宮殿)」、本文には「チャールズ国王・カミラ王妃が開催する国家晩さん会にお越しいただきたい」といった内容が書かれていた。
 

「なぜ声がかかったかわからない」

「私、最初は“なりすまし”のような迷惑メールだと思ったんです。でもその後、ホテルのPR担当部署に呼ばれて、『宮殿に電話してみたら本物の招待でした。早くこの素晴らしいメールに返信してください』と言われて、驚きました」(佐藤さん)

「なぜ私が……?」と戸惑ったが、招待者に選ばれた理由については、一切説明がなかった。料理の世界では珍しい女性のヘッドシェフであることや、SDGsを重視するホテルの方針に従い、食品の保存にラップを一切使わず紙タオルなどで代用するといった取り組みが評価された可能性はあるが、

「自分の店を持っているわけでもない私になぜ声がかかったのか、理由はいまだによく分かりません。地元の新聞には、晩さん会招待者として、元宇宙飛行士の山崎直子さんと一緒に私の名前が載っていて、あまりの恐れ多さに『げーっ!』と思いました」

 と佐藤さんは笑う。

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両陛下から感じた“オーラ”