男性は、Bさんが道具を出し始めると、「あちゃ~、随分とお金をかけちゃってるんだねえ」と話しかけてきたという。Bさんは、比較的手頃な価格帯で知られるブランドを愛用してはいるが、その男性から見れば「お金をかけ過ぎ」と見えるらしい。

 聞けば男性は、道具の多くを100円均一のグッズで揃えているという。「少し前までブルーシートを張ってテント代わりにしていた」「いかにお金をかけずに楽しむかがキャンプの醍醐味」と、節約しながらキャンプを楽しむスタイルの持ち主だそう。

 男性は、その辺に落ちていた枝で箸も作れば、アルミ缶を使ってアルコールランプも作る。火打ち石で火を起こすのがマイルールだが、松ぼっくりや杉、松、シラカバなどの樹皮など、“その辺に落ちているもの”が着火剤として活用できる場合には、それらを使うこともある。とにかくキャンプのために新たに物を買うのを極力避けるのが流儀だと力説する。

「キャンプも贅沢な遊びになっちゃってねえ。本来はもっとお金をかけない遊びだったんだけれど。大体、道具を買うなんて本当のキャンプじゃないよ」

 気づけば、男性のキャンプ論を長時間にわたって聞く羽目に。「いかに道具を買わないか」というマウンティングもあることを実感したという。

「SNSを見ても、いろんなキャンプのスタイルや派閥があって、それぞれが論を振りかざしている。そういうのって正直、面倒だなって思います。それぞれがキャンプを楽しめば、それで良いんじゃないかと思うんですが……」(Bさん)

「90年代のアウトドアブームを支えた世代は、“キャンプたるもの、こうあるべき”という姿勢が強い人も少なくない。その時代からキャンプを続けている人にとっては、今の“おしゃキャン(お洒落なキャンプ)”的な動きに意見したくなる気持ちが強いのかもしれません」

 こう話すのは、ブームの動きについて詳しいトレンド評論家の牛窪恵さん。今、キャンプブームの裏で、さまざまなマウンティングの動きが見られている。

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