家族3人で暮らしたアパートで取材に応じる、松永拓也さん(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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 あんな出来事があった、こんな話題があった…と記事で振り返る「あのとき」。昨年の10月ごろに、多く読まれていた記事を紹介します(この記事は2023年10月27日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【写真】「真菜も許してくれるかな」家族で暮らした自宅の今

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 東京・池袋で乗用車を暴走させ、松永拓也さん(37)の妻子[真菜さん(当時31)、莉子ちゃん(同3)]の命を奪った飯塚幸三受刑者(92)=実刑確定=に損害賠償を求めた訴訟が、27日、結審した。東京地裁は飯塚受刑者らに、約1億4000万円の賠償を命じる判決を言い渡した。10月中旬、AERA dot.は松永さんに判決前の胸中を取材。そこで明かされたのは、約3年間の民事裁判で経験した苦しみや葛藤、そして今後の人生への願いだった。

――2021年に民事裁判を提訴した際の気持ちをお聞かせください。

 やはり、むなしさはありました。2人の命さえ戻ってくるなら、お金なんていらない。でもそれがかなわないなら、せめてなぜあの事故が起きたのかを明らかにしたいと思いました。

 というのも、個人の罪を裁く場である刑事裁判では、「飯塚氏がブレーキとアクセルを踏み間違えたのか、車が不具合を起こしたのか」ということしか争点になりません。判決では踏み間違いが認定されましたが、なぜ踏み間違えたのかは分からない。それでは、真相究明と再発防止につながらないんです。事故の原因を知るための材料を洗いざらいテーブルに出すには、民事裁判を起こすしかないと考えました。

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「裁判には出ないほうがいいかも」