半年前から筋トレに打ち込んでいるという松永さん。「もともと真菜がしっかり健康管理をしてくれていたのに、事故が起きてから一気に20キロくらい太ったんです。さすがにまずいと思ってトレーニングをはじめたら、いつの間にか部屋がこんなことに。でも健康のためだったら、真菜も許してくれるかな」(松永さん)(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

 刑事裁判の判決で、(飯塚氏に)実刑5年が言い渡されたとき、僕はなんの感情も湧きませんでした。飯塚氏の横顔を見ていたんですけど、ただただ、むなしかった。彼には穏やかな老後が、僕には真菜と莉子と3人で歩む未来があったはずなのに、なぜこんなところにいるのか不思議でした。

 民事でも同じような感情になると思います。でも、むなしいばっかり言っていてもしょうがないので、裁判所にはせめて、未来の社会につながる判決を出してほしい。具体的には、飯塚氏が抱えていた可能性のあるパーキンソン症候群と、事故の間の因果関係を認めてほしいです。

 パーキンソン症候群は脳の病気で、結果的に足が動きづらくなります。事故後、足をひきずりながら歩く飯塚氏の姿が報道されると、「そんな状態で運転したから事故を起こしたんだ」という声が数多く寄せられましたが、因果関係が分からない以上、臆測の範ちゅうを出ない。だから現時点では、僕は高齢ドライバーの問題に言及することはあっても、病気というアプローチで再発防止を語ることができないんです。

 もちろん、好きで病気になる人はいないし、病気を理由に制限を設けるのは酷だという意見もあるでしょう。それでも、(病気との因果関係があるならば、)事故によって命を落とす人を一人でも減らすための努力は必要だと思います。

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