インタビューには、石破首相の外交政策について報じた朝日新聞の記事の切り抜きを持参していた(photo 横関一浩)

──議員の「世襲」も同じ原理でしょうかね?

 私は企業や団体からの献金もなく、パーティーは一切やりませんでした。すると、地元の県議らから「自分たちに代や氷代を出さないなら、選挙の時に協力しない」。「落としてやる」とまで言われ、事実、現職の文部科学相の時に落選しました。

 日本の政治風土が、地盤培養行為のためのお金を必要とするメカニズムになっているのです。本気で政治家本来の仕事をしていると、足元をすくわれるという経験でした。

 私も世襲です。

 でも、うちの場合は、父が政界引退した後は、地元の市長が後を継ぎました。

 ところが、父が脳梗塞になってから、介護器具など利用上の不便が多く、法律改変の必要性を痛感しました。そこで主人に相談すると「それは国会の仕事だ。議員立法だよ」と言われ、すぐに立候補を決めました。

 結論を言うと、日本も英国や米国のように、政権交代ができるような二大政党制にもっていかなければなりません。今回の選挙は、そのきっかけになってほしいと願っています。そのためには「野党が一本化する」ことが必須です。

どうみる石破vs.野田

──今回の総選挙で対決する新しいリーダー、石破さんと野田さんはいま、どう見えますか。石破さんは「角栄さんの最後の弟子」と言われています。野田内閣の文科相を務められましたね。

 今度の取材を機に、当時の秘書にも確認を取りましたが、石破さんはあの当時、目白や永田町の田中事務所に出入りしていた大勢の候補、志願者のうちの一人じゃないですかね、との答えでした。

 ましてや「父に見込まれて、政界入りを口説かれた」なんてありえないとの話でした。
 事務所の父の席の隣には常に空席があって、希望者とは誰とでもツーショットの写真を写すサービスをしていましたから。

 それよりも、自民党総裁に決まった直後に「解散の予定は」と言い出したのを聞いて驚きました。(首相になる前に)そんなことを言う権限がないことくらい、知らないわけがないでしょ。

 閣僚の布陣を見ても、初入閣が13人もいます。私の3度の入閣経験では、せいぜい1人か2人でした。パッチワーク内閣では仕事になりません。

 野田さんもどうですかね。文科相のころ、野田さんには「絶対にいま、解散しちゃだめですよ。政権失いますよ」とクギをさしていたんですが。「自民党にうそつきと言われるわけにはいかない」と、最後は突っ込んで、政権を失いました。

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石破内閣で一番懸念されること