
石破政権は、「裏金議員の公認はずし」に手いっぱい、これに対抗する野党も「候補一本化不全」のまま、総選挙に突入する。首相になる前に宣言した「最速解散」によるドタバタ政局がどう見えるのか。自民・民主両政権で外相等を務めた、田中真紀子さん(80)に思いを聞いた。AERA 2024年10月21日号より。
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──内閣発足から解散まで「戦後最速」だそうです。
長い夏休みの後なのに、通年国会をしないのであれば、いっそ国会は日当制にした方がいいですよ。財政状態が悪いんですから。国会議員はいま、衆参合わせて713人います。選挙なんかで、国会を1カ月休むくらいなら、全員能登半島へ行って、ボランティア活動をしてきたらいいでしょ。泥をかき出したり食料を運んだり。
石破さんたちはせっかく防災服着て行ってるんでしょ。マスコミや役人も大勢連れて行ってもじゃまなだけ。トイレ掃除でもしてきた方が喜ばれるのにねえ。時間をかけて、災害関連法を作るよりも、その方がよほど、国民のためになります。
──長靴はいて、こっちまで入ってきたらどうですか、と言う被災者もいました。能登の人たちには、「自分の都合だけ考えた解散」に映ったでしょうね。
人手不足で悲鳴をあげている現場へ、国会議員700人余りが、1週間でも20日でもお手伝いに行ってきたらいいのにねえ。視察の繰り返しよりも、ともに労働する方が、結果として選挙にも役立つかもしれませんよ。
収入は年3360万円
──「裏金議員の公認問題」対策で精いっぱいで、与野党ともに「政治とカネ」の根本問題まで議論が及んでいません。
国会議員は、議員歳費が月130万円、期末手当3・3カ月分。加えて文書交通費100万円です。合計すると年間3360万円の収入がある。さらに企業団体献金やパーティー収入を加えると、年間5千万円もの収入になります。民間で額に汗して働いている人には想像もつかない金額です。
「政治にはお金がかかる」と弁解する議員もいますが、かけなければいいのです。結局、議員は儲かるんじゃないでしょうか。それが「世襲」にもつながっていると感じます。