強いリーダーシップを求めない
今の若者たちは、利益を追い求めるのではなく、「いいね!」の数を集めることに関心を持っています。「シェアの精神」に基づいて動き、仲間と一緒にずっと関係を続けていくことを重視しています。彼らは、リアルとオンラインの両方で自由自在に仲間を作り、その関係を築いていく力を持っているのです。
だからこそ、そのような人材を育成するマニュアルは存在しないと言ってもいい。外側から教育されて誰かが率いるものではなく、内側からの一人ひとりの発露がチームをつくるからです。
また、従来のリーダーシップ論や組織論が、今の若者にとって本当に必要なのかという問いもあります。かつて教科書で習ったような組織の管理手法が、今の時代に適しているのかといえば、「NO」と言わざるをえない。今の若者は、1000人を1人で束ねるような、強いリーダーシップの必要性を感じていないのです。
リアルな体験にはお金を惜しまない
実社会のビジネスモデルも変わりつつあります。ブランドを作り、商品を売り、消費者が喜ぶという従来のビジネスモデルが変化しているのです。
若者たちは、モノを手に入れてもすぐにシェアしたり、売ったりする傾向があります。例えば、メルカリやラクマといったフリマアプリで、不要になったものをすぐに売り、そのお金で新しいものを買うというライフスタイルを持っています。彼らは、無理にお金を使わず、必要な時に必要なものを手に入れる一方で、リアルな体験にはお金を惜しまない。ライブなどのイベントには1万円や2万円をかけてでも参加し、その場限りの体験を楽しむのです。
このような感覚は、羨ましくも感じられます。彼らは、本当に大切なものを本能的に理解しているように思えますから。しかも、彼らの「推し」は非常に多様です。私たちが学生に「どんな人を客員教授に招きたいか」と尋ねた時、複数の熱い推薦が一気にありましたが、その誰一人も私が知っている人はいませんでした。笑いました。これだけ社会は秒速で動いている。これこそが、時代の感覚が“生き物”であることの証しです。