冒頭、彼は霊気を得るため、墓地の土を舐める。「自然と人のつながりを重視し、吉凶禍福を見つめるのが風水師。それがそういう演技に繋がった」
「この世界は99%のリアルでできている。でも、あと1%は?」との言葉が印象に残った。考えてみれば、その1%が人の心を左右し、物事は動いていくのかもしれない。その意味で1%の不思議は神の意思にも思える。
「破墓/パミョ」は墓を巡る血族の壮大な物語。鑑賞後、僕は宮崎駿の一連の作品を思い出した。人と精霊と動物たちとの会話。恐怖というより、むしろ豊潤な自然の循環の中にいる自分を感じた。
チェ・ミンシクにそれを伝えると「一理ある。はじめは人間と霊たちとの葛藤の物語だった。それが次第に解消されていくのです」。
先祖を敬い、家系を遺す。そんな韓国で本作は今年1200万人を動員、7週連続第1位を記録した。
そういえば、と彼が言った。「この前、韓国の歌番組で『川の流れのように』がオンエアされていてね。(秋元康さんの)歌詞が詩のようで、涙が出たよ」
チェ・ミンシクは親日家。最新作のプロモーションで来日するのが楽しみと笑った。
(文・延江 浩)
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