「あのー、すいません……お釣り……もらってませんよね……」

 勇気を出して言ってみた。

「!! ワー!! ソウソウ!! 400エンッ!! ワタソトオモテタノニ、ソコニオイタママデシタ!! ゴメンナサイネッ!!」

 マスターは平謝りしながら400円を渡してくれた。

「いやいや、いーんですよ! また来ます」

「アリガトーネー!」

 本当に良かった。やはり俺は間違ってなかった。そんなことより、またあの店に行ける。

 家に帰りホッと一息つく。すでに15時近い。お腹がいっぱいなのと、気疲れしたので眠たくなってきた。このままソファで寝てしまおうか。どうしよう。そろそろ子どもが学校から帰ってくるかもしれない。見つかったら「『ソファで寝るな』っていつも怒ってるくせに、自分が寝てるじゃんかっ!!」と言われるかもしれない。それに俺はなにかやることがあったはず……。

 そうだ! AERA dot.の原稿の〆切が近いじゃないか。4月から隔週の連載になったからついつい〆切を忘れがちだ。早く取り掛からねば!!

 ……と思いながら、今、私はこの原稿を書いている。なにかやることが他にもあったはずなのだが、思い出したらそちらに取り掛かることにしよう。とにかく今は原稿だ。ああ、「悪のオーナー」の続きが気になる。

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