東京15区から立候補した大空幸星氏(撮影/上田耕司)
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 10月15日に公示された衆議院総選挙。27日の投開票日まで12日間にわたる選挙戦がスタートしたが、注目選挙区では早くも各陣営が積極的に動き始めた。東京15区(江東区)もそのひとつ。前回の補選では、共産党の支援も得て立憲民主党の酒井菜摘氏が大差をつけて当選したが、今回は混戦になりそうだ。前回2位だった須藤元気氏、3位の金澤結衣氏も再び立候補した上、共産党も独自候補を立てた。台風と目となるのは、前回独自候補を立てられなかった自民党候補。Z世代で知名度のある25歳の大空幸星(こうき)氏が立候補したことで、状況が一変した。候補者たちの動きを追った。

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「選挙スタッフは全員20代で、彼(大空氏)の友人ばかりです。今までの自民党とは違い、しがらみも全くありません」

  自民党から立候補した大空幸星氏の陣営スタッフはこう話す。

 陣営のカラーは「赤」。スタッフもみんな赤いジャケットを着用している。記者が「最初は共産党かと思いました」と感想を言うと、「共産党の赤よりはうちはもうちょっと明るい赤で、少し違うんです。大空は赤がトレードカラーですし、(選挙でも)赤がいいというのでこの色に決まりました」(スタッフ)と説明した。

 大空氏は実業家で、NPO法人「あなたのいばしょ」の理事長も務める。若者を中心に、社会で孤独を抱える人や孤立する人を支援する活動をしてきた。情報番組や討論番組への出演も多く、Z世代の論客として知名度も高い。

  大空氏は街頭演説で、「20代の国会議員、何人いると思いますか。今、一人もいないんです。20代の国会議員が一人くらいいてもいいんじゃないでしょうか」と若さをアピールする。だが、一部の有権者から疑問視されているのが「なぜ自民党から出馬したのか」という点。大空氏が訴える福祉政策は野党の主張と重なる部分が多く、保守的な色合いが強い自民党とは相いれないのではないかという疑問だ。SNSでは「結局、自民党から出た方が得だと思ったんだろう」など批判の声も上がった。

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須藤元気氏は「唯一の地元候補」をアピール