世界のテック企業で、AIの研究者など一流人材の争奪戦が続いている。そんな中、ソニーは世界から一流人材を集めている。ソニーで働くことの魅力とは何か? ソニーに入社した楊瀛(ヤン・イン)さんという女性エンジニアの働き方から、一流人材をひきつけるソニーの魅力を解剖する(片山修著『ソニー 最高の働き方』よりの抜粋記事です)。
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ソニーのほうが“仕事しやすそう”
楊瀛(ヤン・イン)は2018年、25歳のときにソニーに入社した。
中国人の両親のもと、埼玉県に生まれた彼女は、ソニーの人材の多様性を表している。ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)で、エンジニアとしてAI処理機能を搭載したイメージセンサーのソフトウェア開発に従事する。
1990年代後半以降に生まれた世代は、「Z世代」と呼ばれる。楊は90年代前半に生まれた、いわゆる「ミレニアル世代」だ。多様性が特徴といわれるZ世代に近い世代感覚の中で成長した。
中学生までを日本で過ごした後、彼女は、両親の転勤にともなって中国に渡り、高校・大学時代を過ごした。日本に残る手もあったが、両親の「いろんなところに住んでみたほうがいいだろう」という方針に従った。
両親は、中国語も日本語も使うため、楊自身は日本語を母国語のように感じていたが、中国語にもまったく不便はなかった。
南京にある高校に通っていたころ、プログラミングに興味を持って独学で学び始め、蘇州にある大学で情報工学を学んだ。大学卒業後に日本に戻ってある大学の大学院に入り、情報学研究科知能システム学を専攻し、AIの研究をした。
「学生時代から、センサーにAIを組み合わせることでおもしろいことができそうだと考えていました」
と、楊はいう。
就職先には、世界でもトップのセンサー技術、とくにCMOSイメージセンサーを持つことから、ソニーを選択した。
「もう1つ、面接のときに社内の雰囲気について、〝仕事しやすそうだな〞と感じたことが、ソニーを選んだ2番目の理由ですね」
と、楊は語る。