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ミラーレス機用の大口径単焦点レンズ

 最高性能を目指して開発しているArtラインではなく、いわゆるその他一般的なレンズのContemporaryラインに属するレンズだ。光学性能のみで描写性能を追求するArtラインとは異なり、カメラ側の画像処理で歪曲などの収差補正を加味した設計が行われているためだ。シグマの明確な製品の区分と設計思想は興味深い。また廉価だ。

 DCの名のとおりAPS-Cサイズのイメージサークルをカバーするレンズだが、ソニーEマウント用のほかマイクロフォーサーズ用もある。レンズ構成は個性的な7群9枚だ。
 絞りや撮影距離によらずバランスのよい描写をするレンズで、開放絞りから実用で、標準レンズとして使いやすい。開放からハロはないが、シャープネスを至上とした印象はない。悪い意味ではなく、大口径レンズ特有の味わいをわずかに残した設計なのであろうか。

α7RⅡのクロップを使用した。開放では大きなボケ効果が得られ、廉価なズームと異なる写真制作が可能。ボケも自然でいい。歪曲収差はカメラ内の補正によるものだそうだ●ソニー α7RⅡ・AE(絞りf1.4・1000分の1秒・- 0 . 7 補正)・ISO400・WB:マニュアル・RAW
α7RⅡのクロップを使用した。開放では大きなボケ効果が得られ、廉価なズームと異なる写真制作が可能。ボケも自然でいい。歪曲収差はカメラ内の補正によるものだそうだ●ソニー α7RⅡ・AE(絞りf1.4・1000分の1秒・- 0 . 7 補正)・ISO400・WB:マニュアル・RAW

デザイン
シンプルなブラック仕上げ。小型・軽量でバランスがよく使いやすい。フードも深く、効果は十分だ

使用感・操作感
AFの速度も不満はない。MF時の操作性も良好。ただ、最短撮影距離が30cmとミラーレス用の標準レンズとしては長く不満

描写性
開放からコントラストが高い描写。周辺光量も十分。絞りがわずかに利くレンズのようで、少し絞り込むとぐっと像が締まる。ボケ味も自然で美しい描写だ

◆赤城耕一

*  *  *
●焦点距離・F値:30mm・F1.4●レンズ構成:7群9枚(非球面レンズ2枚)●最短撮影距離:30cm●最大撮影倍率(35mm判換算):1:7●画角:50.7°●フィルター径:φ52mm●マウント:ソニーE用、マイクロフォーサーズ用●大きさ・重さ:φ64.8×73.3mm・265g(ソニーE用)●価格:税別4万8000円(3万9410円)