佐藤=ロスべアグ・ナナさん(右)、アクセル・ロスベアグさん(撮影/楠本涼)
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 AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。AERA 2024年10月14日号では、ともにロンドン大学で働く翻訳学研究者の佐藤=ロスベアグ・ナナさんと理論生態学者のアクセル・ロスベアグさん夫婦について取り上げました。

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2001年に結婚。英国ロンドンで2人暮らし。

【出会いは?】京都で妻が大学生、夫が博士研究員だった頃、アムネスティ・インターナショナル協賛のライブに行き、打ち上げで隣の席になり気が合った。

【結婚までの道のりは?】半年後に夫の離日が決まっていたが、一緒にいて楽しかったので付き合うことに。日本を離れる時に婚約指輪を渡し、半年後、ドイツで夫の就職が決まって遠距離結婚がスタート。

【家事や家計の分担は?】作るのが早い妻が料理を、食洗機の操作は夫など各自得意な家事をやる。家計は半々で負担し、共同名義口座(英国の銀行)で管理。大きな出費は都度相談。

妻 佐藤=ロスべアグ・ナナ ロンドン大学SOAS/東洋アフリカ研究学院 翻訳学研究者

さとう=ろすべあぐ・なな◆大阪府生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科で博士号取得。中国、日本、英国の大学で研究職を経て、現大学へ。口頭伝承の翻訳、翻訳と権力の関係などを研究。著書に『学問としての翻訳』、編著に『トランスレーション・スタディーズ』など

 最初から遠距離結婚は織り込み済みでしたね。互いに新しい研究分野で、職を得るのにあちこちの国へ飛びました。

 私の専門のトランスレーション・スタディーズは日本の大学ではまだ学部などが設置されず、日本でキャリアを積むのをあきらめて彼がいたオーストリアに滞在した時期、中国の大学から誘いを受けました。また知らない土地に……と、もぞもぞしていたら行きなさいと彼に思いっきり背中を押されて。キャリアの大きな一歩になったのは間違いないです。英国に移り住んで二人とも専門分野で就職し、一緒に暮らせるようになるまでに11年かかりました。

 アクセルさんは仕事に真摯に取り組む人。自然を守りたい気持ちなど自分の信じるものに向かって道を切り開いていく。有名とか偉いからと鵜呑みにせず、研究成果に基づいて間違っていると思えば相手が誰であっても言う。就職がしにくいからとあきらめたりはしない。反骨精神があるのは私も同じ。まあ、似た者同士なのでしょう。

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元々結婚に興味がなかった