しかし、似顔絵塾は翌年、山藤さんとも親交が厚かった松尾貴史さんを2代目塾長に迎え「週刊朝日似顔絵塾」として再スタートを切った。山藤さんは「その手があったか」と喜んだそうだ。その後、週刊朝日が休刊になると、「サンデー毎日」が手を挙げてくれ、奇跡的な“移籍”を果たし、今も継続中だ。山藤さんが育てた似顔絵文化のすそ野は広がり続けている。
いつも健全な緊張感
松尾さんは訃報に接し、こうコメントを寄せた。
「山藤さんにはひとかたならぬという慣用句では表せないほどのお世話になりました。デビューして間もない頃から薫陶を受け、若い頃得意としていた討論番組のパロディーの演目も山藤さんの提案からでした。
週刊朝日の人気連載『山藤章二の似顔絵塾』を勇退なさった時は、私が2代目塾長を拝命しました。いつお目にかかっても、鋭い批評眼で色々指摘をされるばかりで、いつも健全な緊張感を保つことができました。
謹んで哀悼の意を表します。山藤さん、有難うございます」
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2024年10月14日号