古川琴音(写真:VCG/アフロ)

満島ひかりに憧れて芸能界へ

「中学入学後は演劇に興味を持ったそうですが、学校には演劇部がなかったそうで、先生に直談判して部を立ち上げたそうです。高校でも演劇を続け、舞台について専門的に学びたいという思いから、立教大学に進学しました。そこでは、自分になかった視点を授けてくれた現象学の講義が最も心に残っているとインタビューで語っていました。また、人類学や心理学など人間に関するさまざまなことも学んだそうで、それが今の芝居の現場でも役に立っているそうです」(同)

 就職活動の時期に差し掛かり、古川は「褒められたことがあるのはお芝居だけだったので、お仕事にしてみようかなというチャレンジ」(「テレ朝POST」24年1月26日配信)したという。さらにある俳優の作品が多大な影響を与えたようだ。

「満島ひかりさん主演の映画『海辺の生と死』を映画館で見て、『自分ではない人物をこんなに深く表現するってどういう感覚なんだろう』とこれまで以上に芝居に興味が湧いたそうです。満島さんと芝居をしてみたいとの思いから、今の事務所のオーディションに応募し、所属に至った経緯があるのですが、まさに有言実行の人ですね」(映画関係者)

 10月8日に幕を開ける、正門良規(Aぇ! group)が主演の舞台「Touching the Void タッチング・ザ・ヴォイド~虚空に触れて~」に、主人公の姉・セーラ役で出演が決まっている。また、10月25日公開予定の「劇場版 ACMA:GAME 最後の鍵」では、ドラマに引き続き、ヒロイン役で出演する。

 エンターテイメントジャーナリストの中村裕一氏は古川の魅力をこう分析する。

「ドラマ初主演作となった22年の『アイドル』では、昭和初期から終戦間際にかけてムーラン・ルージュ新宿座の座員からトップスターに駆け上がった主人公・明日待子を、横溝正史の超名作をドラマ化した翌年の『犬神家の一族』では莫大(ばくだい)な遺産をめぐる凄惨な争いに巻き込まれるヒロイン・珠世を演じ、いずれも存在感のある演技を披露していました。昭和感漂うレトロなムードが似合うかと思えば、『岸辺露伴は動かない』の第7話『ホットサマー・マーサ』では、高橋一生演じる露伴の熱狂的なファンである少女というエキセントリックなキャラクターを演じ、インパクトを残しました。どんな作品やどんな役でもしっかり自分のものにし、作品世界に息づくことができる。俳優としての体幹が非常にしっかりしていることがうかがえます。彼女にしかできない役がきっとあると思いますので、これから先どのような作品に出演していくか楽しみです」

 少女のようなかわいらしさ、純真無垢(むく)な透明感、ドキリとさせる妖艶さ……何色にも染まれる女優・古川琴音の魅力はまだまだ尽きることはなさそうだ。

(高梨歩)

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高梨歩

高梨歩

女性ファッション誌の編集者など経てフリーライターに。芸能やファッション、海外セレブ、育児関連まで、幅広いジャンルを手掛ける。活動歴は約20年。相撲フリークの一面も。

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