症状が多岐にわたる更年期。仕事と両立するためには、当事者と管理職はどう向き合えばいいのか。立石清一郎・産業医科大教授が語る。AERA 2024年10月7日号より。
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更年期の両立支援というのは非常に繊細な問題です。たとえば胃がんの場合、「一食の量を減らして食事の回数を増やさないといけないので環境を整えてほしい」と言えばわかりやすいし、事業者も対応しやすいですよね。
でも更年期は症状が多岐にわたっているうえ漠然としていたり、ネガティブな印象を持っている人もいたりするので、当事者が自己開示しにくくて配慮を受けにくい状況があります。そもそも自分が更年期障害だということに気づいていない人もいます。
本来もっと良いパフォーマンスができるはずなのに、更年期症状によってできていないのだ、ということにまず自らが気づくことが大前提。
そのためには「更年期にかかわらず、女性はライフステージによって様々な問題が起きる」ことを管理職が学び、部下にもなんらかの形で伝えられるよう、会社も支援体制を構築すると良いと思います。
更年期症状によって生産性が下がることを避けるためには、ストレスを減らす必要があります。たとえばホットフラッシュがあるのに日差しが強い席に座り、上着も着ないといけなかったらつらいですよね。
当事者は「いまの環境はこのような問題があるので改善してほしい」と伝え、上司はそれを受け止めて、どうすればいいかを一緒に考えることが大事だと思います。
ただ、「配慮したのだから、毎日同じパフォーマンスを」と部下に求めるのはやりすぎ。機械ではないので、ある程度の振れ幅を理解することが重要で、管理職の腕の見せどころなのではないかと思います。
(フリーランス記者・山本奈朱香)
※AERA 2024年10月7日号