小林早代子(こばやし・さよこ)/1992年、埼玉県生まれ。早稲田大学卒業後、2015年『くたばれ地下アイドル』で第14回「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、同作でデビュー。現在は夫とともに米・カリフォルニア在住(写真/写真映像部・佐藤創紀)
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 AERAで連載中の「この人のこの本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。

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 少女漫画家の花乃子(26)は恋人と別れ、友人の百合子、澪、亜希を前にハイボール(濃いめ)を片手に叫んでいた。「私、マジでこの中の誰かと死ぬまで暮らしたいと思ってんだけど」──そして始まった4人の共同生活。その先にある決断が待っていた──。女子の本音と未来が炸裂するエンドレスガールズトーク小説『たぶん私たち一生最強』。著者の小林早代子さんに同書にかける思いを聞いた。

*  *  *

〈もうさー女友達と一生暮らしたいんだよね最近は!〉

〈どうせどの男ともいずれはセックスなんかしなくなって友達みたいになるんだよ。だったら長年培った友情のもと女の子と家族になった方が良くない?〉

 いや〜ホントそれな! そんな女子たちの共感の叫びが聞こえてきそうな小林早代子さん(32)の新刊『たぶん私たち一生最強』。高校時代からの友人である26歳の女子4人がルームシェアを始める物語だ。

「もともと海外ドラマ『フレンズ』のような友達と同じ屋根の下で暮らすというシチュエーションが好きだったんです。私自身も高校時代からの友人と2年ほどルームシェアしていたので、その経験もディテールに生きたかなと思います」と小林さんは言う。

 男好きだが「女友達と一生暮らしたい」と言う少女漫画家の花乃子。高収入ながら性の問題を抱える百合子。冷静でクールな澪に、冴えない会社勤めをぼやく亜希。4人の共同生活は自由さと無双感に溢れていて最高に楽しい。が、同時に婚期や出産のリミットから逃れられない女性たちのもがきや咆哮も含んでいる。

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