──9月25日に初のカバーアルバム「Love Covers」をリリースされます。選曲ポイントは?
僕がもともと好きで歌ってきた曲と、日本で広く愛されている曲を入れました。
──収録曲の一つ、尾崎豊さんの「Forget-me-not」は、昨年「FNS歌謡祭」で披露。ジェジュンさんのファンだけでなく、尾崎ファンからも「原曲へのリスペクトを感じる!」と大好評でした。
本当ですか? よかった~! あの曲は、日本人の友達とカラオケに行ったとき「ジェジュンに似合うと思う」とすすめられて、歌うようになったんです。実は、原曲よりもキーを四つあげて歌っています。尾崎さんのライブ映像を見たとき、声が割れようがお構いなしに力強く歌う姿がすごくかっこよく見えて。でも、僕が原曲キーで歌ってもその感じが出ない。歌うのがつらければつらいほど、声が出るか出ないか限界ギリギリで歌うほど雰囲気が出る気がして、思い切ってキーをあげました。
──カバー曲を歌うときに大事にしていることは?
自分の特徴を生かして原曲を新しく解釈するとか、原曲アーティストに完全に寄せていくとか、カバーの歌い方にはいろいろあると思うのですが、僕はできる限り原曲アーティストの方の感情に寄せていって“匂い”を感じられるように歌うようにしています。例えば、「愛してる」から中島美嘉さんの姿が浮かんだり、「First Love」からは宇多田ヒカルさんの匂いがしたらいいなと思って。
──今回、一番レコーディングに苦労した曲は?
「チキンライス」ですね。この曲は「HEY! HEY! NEO!」(4月1日放送)でのダウンタウンさんとのトークがきっかけで、急遽収録することにしました。あの曲ってすごく難しいんです。通常のポップス理論には全く当てはまらない。なんというか、すごく自由なんです。メロディーと歌詞の音数を合わせるよりも自分が言いたいことを言うほうが大事で、方言があったりもするし、突然早口になったりもするし……。
──ともかく、難しかった。
はい。ものすごく。今でも何が正解なのかわかりません(笑)。聞いてくださる方の反応も見当がつかないし。
──「チキンライス」のように、ジェジュンさんにも家族との思い出の食べ物はありますか?
ステーキかなあ。といっても庶民的な店の硬いステーキですよ。僕、3番目のお姉さん(ジェジュンさんは9人姉弟の末っ子)が10歳くらい年上なんです。僕が小さい頃、もう独立してソウルの近くに住んでいたんですけど、年に1~2回、地元に帰ってくるんです。そうすると決まってステーキ屋さんに連れていってくれて。僕の親は共働きで、幼い頃一人でご飯を作って食べることが多かったんですね。裕福なほうでもなかったので、外食の機会もほとんどなくて。だから、お姉さんが帰ってくるのが楽しみでしたね。どんなにおいしいステーキも、あのステーキには勝てない。今でもステーキを食べる度に思い出すんです。
(構成/酒井美絵子)
※週刊朝日 2019年10月4日号