大阪府も兵庫県もこれまで、万博を見据えたうえで、空飛ぶクルマ、ドローン計画は行政主導で展開してきた。だが、民間を強調する斎藤知事の発言は維新の方針を否定しかねない内容だというのだ。
大阪維新の会所属の府議は憤る。
「いったい誰のおかげで当選したんや。誰がサポートして、今、兵庫県知事の座に踏みとどまっているのか。わかってへん」
空飛ぶクルマは一発逆転のネタ
来春開催の大阪・関西万博は、維新にとって一大政策となる。しかし、ガス爆発や工期の遅れ、海外パビリオンの撤退などでマイナスイメージが大きくなり開催にこぎつけられるのかさえ、微妙な状況だ。
「万博でヤバそうなニュースが流れるたびに、世論調査の支持率が減っている感じがする。それを一発逆転できる数少ないネタが、空飛ぶクルマなのです」(前出・府議)
国際博覧会協会の副会長でもある吉村洋文知事はこうPRしていた。
「空飛ぶクルマといって、大阪のベイエリアを普通の自転車のようにグルグルまわっているのを万博でやります」
陳述書の内容とは裏腹に、斎藤知事は県議会ではむしろ空飛ぶクルマに前向きな姿勢を見せている。
「空飛ぶクルマにつきましては、万博開催時の県内飛行の実現に向けまして、来年度、次世代空モビリティひょうご会議(仮称)を設置して、社会的な受容性を高めていくということをしてまいります」(2023年2月22日県議会)
万博開催時に合わせて兵庫県でも空飛ぶクルマの離発着場を尼崎市に整備したり、空飛ぶクルマ実装促進事業として補助金事業も実施している。
「二枚舌」にも映るこの対応の違いはどういう事情なのか?
元県民局長が亡くなる直前まで連絡を取っていた県幹部が明かす。
「維新との関係もあり、斎藤知事はドローン、空飛ぶクルマに積極的でした。後ろ向きになったのにはパワハラが背景にあります」
この幹部によると、県にはA氏というドローンや空飛ぶクルマに詳しい職員がいる。シンポジウムがあれば、まずA氏に声がかかるといい、マスコミのインタビューにA氏が登場することも少なくないという。