流行作と過去作を比較検討する本について聞く中で、こんなふうに何にも似ていないものに話が及ぶのは面白い。それにしても、快活に語る高橋さんだが、長期連載のパワーの源はなんだろうか。

「ネタのストックなんてまったくありませんよ。だから常にアンテナを全開にしてないといけなくて、それがいいんです。常にそう考えているので、“なんか面白いことないか”とワクワクしていた中高生の頃に戻る感覚があります。それと、家族の存在も大事です。“最近のアニメ、なにが面白い?”と息子に聞くと、ドバーッとリストが出てきます。また妻も子どもも、ぼくの好みをよくわかっていて、音楽にしても映画も本も、“お父さん、これ好きだと思うよ”なんて教えてくれる。この連載のおかげで彼らと話す時間が増えて、家庭円満になりました(笑)」

 旺盛な探求心と、長年の読書をはじめ観たり聴いたりの蓄積、そして家族のサポート。「これは、アレだな」は、当分、続きそうである。(ライター・北條一浩)

AERA 2024年9月9日号

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