『ハイキュー!!』(c)古舘春一/集英社

何事にも自由な発想を

 漫画原作者やスポーツライターとして活躍する門脇正法さんはそう話す。その門脇さんが「ハイキュー!!」から挙げてくれた名言は、「負けたくないことに理由って要る?」。

「新マネージャー候補の谷地仁花との会話で、無意識に日向が発したひと言です。負けたくないことは、その後影山が言うように『ハラが減って飯が食いたい事に理由があんのか』と同じくらい当たり前のことなのです」

 ほかに「どんなことだって“やってみる”から始まるんだ」も、染みるセリフだという。

 マンガ図書館の山田彩由さんもこの作品からの名言を挙げた。「ところで平凡な俺よ 下を向いている暇はあるのか」

「得点を奪われ続け、自分は強くないと自覚させられていく田中が、自分に向かって語りかけた言葉。そんな状況でも、あきらめる/逃げるを選択しない姿に奮い立たされます」(山田さん)

 また、「ハイキュー‼」からは、負けて落ち込む選手たちに対して、武田先生がかけたこんな言葉も印象的だ。「“負け”は弱さの証明ですか。君達にとって“負け”は試練なんじゃないですか? 地に這いつくばった後 また立って歩けるのかという 君たちがそこに這いつくばったままならば それこそが弱さの証明です」

 サッカーライターのいしかわごうさんが挙げたのは「キャプテン翼」(高橋陽一/集英社)から、「翼、サッカーは自由だ」。サッカーが愛されるのは、もっとも単純で自由なスポーツだから。そんな師の言葉を思い出した翼は、試合中、相手ゴールとは逆方向に向かってドリブルし始める。

「その姿は強烈で、同時に、サッカーの本質的な魅力が描かれているシーンでした。人は経験を重ねるにつれ、こうあるべきという先入観が強くなりがち。何事にも自由な発想は忘れないようにしておきたいですね」(いしかわさん)

 もうひとつ、「アオアシ」(小林有吾/小学館)では、試合中に覚醒した主人公・葦人(あしと)を見た監督の「自分で掴(つか)んだ答えは一生忘れない」も印象深いという。

「お手軽に手に入る答えはすぐに忘れてしまうが、もがきながら自分で掴んだ答えとその経験は、一生の糧になるということです」(同)

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