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富江』『うずまき』の作者として、日本のみならず、全世界で高い人気を誇るホラー漫画家・伊藤潤二。最近では、伊藤作品のダークヒロインを真似た「富江メイク」が、韓国の若い女性に流行しているニュースも流れた。現在開催中の伊藤初の大規模展覧会には、アジアだけでなく欧米からもインバウンドの海外旅行者が殺到しているという。

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海外知名度の高さがわかる展覧会

 世田谷文学館(東京都)で開催中の「伊藤潤二展 誘惑」は、開幕直後から多くの来場者で賑わっている。

 この展覧会はホラー漫画家・伊藤潤二の約40年に渡る執筆活動のすべてが展示されているといっても過言ではない。展示内容の多さ、ディープさだけでなく、グッズ売り場では個性あふれる商品が並び、品切れも出るほど大人気だ。

 その人気ぶりはというと、8月18日時点で来場者数が6万人を突破し、9月1日の閉幕までに世田谷文学館で開催した展覧会の中で最多来場者数になるかもしれない……という話も聞こえてきた。

 関係者の予想をはるかに超えて、いったいなぜ伊藤潤二展は人気なのだろうか。

 世田谷文学館の担当者にその理由を聞くと、「海外からの来場者の多さ」だという。

 過去の展覧会では、土日に多くの日本人が来場しても、学校や会社のある平日は減少傾向だったが、伊藤潤二展では、そのウィークポイントである平日に、多くの外国人来場者が訪れることで入場者数が増えているのだと言う。

 伊藤潤二の海外での熱狂ぶりは、想像以上だ。

【世田谷文学館を訪れた、海外の方のインタビューはこちら】

 漫画界のアカデミー賞と言われる米アイズナー賞を4度受賞し、昨年2023年は仏アングレーム国際漫画祭で栄誉賞を、米サンディエゴ・コミコンでインクポット賞を授与された。彼がゲストで訪れる海外のコミックイベントはどこも満員御礼の大盛況で、今月8月に参加したドイツのAnimagiCで3日間行われた約200人限定のサイン会には応募が殺到したそうだ。

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