新年を迎えたと思ったら、はやもう3月。
月日がたつのは早い。
この連載を始めたのは昨年の2月で、もう1年以上が経つ。残念なことに、今回が最終回。
最終回、古巣の吉本興業と横山やすしさんのことについて書きたい。
早いもので、横山やすしさんが亡くなって今年でちょうど20年になる。
1984年の春、わたしは創業以来3人目の女性マネージャーとして、吉本興業に入社した。
新卒で担当したのが、なんと横山やすしさん。
押しも押されもせぬ大御所芸人、芸能界やテレビ局の偉い人からも恐れられていた人物だ。
大声で怒鳴りつけられる、朝も夜中も関係なく電話で起こされるなんて当たり前。とくに相方の西川きよしさんが参院選に立候補したときは、横山さんが荒れて荒れて、大変だった。
番組に泥酔状態でやってくる。
わたしが何を言っても「じゃかましい」と怒鳴る。
しまいには、吐いて倒れる。
突然、マネージャーのわたしが大勢のマスコミを前にして記者会見に出ることもあった。書けないような苦労もたくさんあった。
とはいえ、やすしさんは、表舞台に立ったら天才で、怖い面もあったけど、素顔はとてもかわいいトコロのある人。わたしは大好きだった。
ただ、機嫌がいいときと悪いときの差が激しかった。みんなに恐れられていた。
最後のほうは、人が寄り付きにくくなってもいた。
ある事故をきっかけに吉本をやめると、潮が引くように人が去っていった。