震度5強の地震を観測した宮崎市=朝日新聞社機から

 先の長尾客員教授はこう言う。

「確率論でいうと、翌日に巨大地震が起きる可能性が100年に1度とすると、3万6500分の1です。それが、『巨大地震注意』によって、3万6500分の5程度になりました」

 ただ、「1週間経てば巨大地震が起きないわけではない」と強調する。

南海トラフ沿いでは、時間差で巨大地震が発生した事例が知られている。

 江戸時代の1854(安政元)年に起きた安政東海地震(Ⅿ8・6)の約32時間後には、安政南海地震(Ⅿ8・7)が発生した。一方、1944年の昭和東南海地震(Ⅿ7・9)の2年後の46年には昭和南海地震(Ⅿ8・0)が起きた。

「地震ではけがをしたり、命を落としたりすることもあります。つまり、確率は低くなっても危険はなくなりません。『注意』というのはそういう意味です」

 そのためにも、「備えが大切」と長尾客員教授は説く。

「津波からの避難経路を確認したり、食料や水は使った分だけ補充し一定量を保つ『ローリングストック』で備蓄し、簡易トイレの備えも必要。砂は脱臭効果がすぐれているので、お勧めしたいです」

 次の大地震がどこで起こるかは誰にもわからない。だが、「次の巨大地震」は必ず来る。そのことを忘れてはいけない。

(編集部・野村昌二)

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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