昭和天皇が愛用した「ミッキーマウス時計」、クルマ好きも注目するレアな「御料車」といった貴重な品々を展示する「昭和天皇記念館」(東京都立川市)が、昭和に改元してから100年を迎える2026年に向けて、大規模なリニューアルを計画している。費用の一部を捻出するため、クラウドファンディングを実施中だ。昨秋の園遊会にも招かれて話題になったユーミンこと歌手の松任谷由実さんも、賛同のメッセージを寄せている。
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昭和天皇の87年の生涯を広く伝えようという「昭和天皇記念館」は、四季の花が美しく咲く緑豊かな国営昭和記念公園にある。
全国の個人や企業、神社などからの寄付金をもとに、2005年に設立された記念館は、公益財団法人の昭和聖徳記念財団が運営してきた。開館当初は年間5万人超が訪れていたが、近年の入館者は1万人を下回り、厳しい状況が続いているという。
記念館では、宮内庁から借り受けた、昭和天皇ゆかりの貴重な品々も紹介している。
展示室の中央にある昭和天皇の「御料車(ごりょうしゃ)」だったニッサン・プリンス・ロイヤルも、その一つだ。
全長6.1メートル、全幅2.1メートル、重量は3.2トンと巨大で、黒く光る重厚感のある車体。副館長を務める学芸員の梶田明宏さんによると、窓ガラスは当時の技術を駆使した防弾ガラスになっており、運転席と後部座席の間には運転手に会話が聞こえないようにガラスで仕切られている。
「巨大な車体は、当時の外国メーカーの高級リムジンを意識したものと思われます。侍従が座る仮設のシートを装備され、ゆったりした室内空間となっています」(梶田さん)
それまでの天皇の御料車は、ダイムラーやロールス・ロイス、メルセデス・ベンツなど外国製だったが、昭和天皇の希望で1967年、国産の御料車であるニッサン・プリンス・ロイヤル1号車が初めて納入された。記念館にあるのは68年に納入された3号車だ。
以前は撮影が禁止されていたが、現在は撮影が許可されており、
「めったに見られない御料車ということで、一生懸命に写真を撮られる方が割といらっしゃいます」
と梶田さんは話す。