昭和天皇の意外な「横顔」を発見できる展示もある。
入り口に近いコーナーに展示されている学習院初等科の制服をよく見ると、破れたズボンを繕っているのがわかる。
この頃の学習院院長だったのが、陸軍大将の乃木希典だ。質実剛健をモットーとする教育方針で、昭和天皇に毎日20分の道のりを徒歩で通学するよう指導した。
梶田さんによると、乃木は「破れた着物をそのまま着ているのは恥だが、そこに継ぎをして繕って着るのは決して恥ではない」と訓示しており、それを幼い昭和天皇が実践していたことがうかがえるという。
「実物を目にすることで、驚きや新鮮な発見がきっとあると思います」(梶田さん)
松任谷由実さんも応援
記念館は、貴重な収蔵品が納められている一方、財政的には厳しい状況が続いている。そして、開館から20年を経て施設の老朽化も目立ってきており、展示室の入り口の自動ドアも修理できずに開けっ放しになっている状態だ。
そのため、修理や改修の費用を確保するため、寄付金の募集や、9月末までに2000万円を目標にクラウドファンディングも始めた。
「昭和天皇は私の出身地東京八王子市の武蔵野陵にお眠りになっています」
松任谷由実さんは、クラウドファンディングのサイトで「私の生まれた頃以降の昭和の平和と繁栄は、昭和天皇の言い尽くし難いご苦労とご尽力があった」と思いをつづり、記念館について「永続発展させる試みを心から応援いたします」と賛同のメッセージを寄せている。
梶田さんも、昭和記念公園を訪れるファミリー層など若い世代の人たちに昭和天皇を通じて、昭和という時代について情報発信をしていきたいと言う。
寄付金やクラウドファンディングの詳細については、昭和聖徳記念財団のホームページ(https://f-showa.or.jp/)へ。
(AERA dot.編集部・永井貴子)