働き手不足を背景に、日本国内で働く外国人労働者が増加している。国籍別で最も多いのはベトナムだが、7年前と同じ条件では人が集まらなくなっているという。AERA 2024年8月12日-19日合併号より。
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2017年だった。
茨城県の介護施設の人事担当者は、初めてベトナムを訪れた。同年11月に技能実習制度の対象職種に介護が追加された。今後の人員体制を考え、外国人労働者の採用を決断したのだ。
基本給は15万5千円。採用人数は4人。送り出し機関から求人を出すと、28人の応募があった。
人事担当者は「これだけ日本で働きたい若者がいることに驚いた」と振り返る。予定した4人を上回る7人の採用を決め、19年に受け入れた。
コロナ禍で新規の入国が止まったが、23年に新規採用に動いた。17年に採用したベトナムの同じ送り出し機関の幹部から、こう突き返された。
「同じ待遇では人は集まりません」
円安の影響が大きいと説明された。
日本は輸入大国だ。特に我々の暮らしに直結するエネルギーや食料などの依存度が高い。そして、「労働力」の輸入大国になりつつもある。
国内で働く外国人労働者は23年10月末時点で200万人を突破。10年前の3倍近い水準だ。国籍別ではベトナムが最も多く、外国人労働者全体の25.3%を占める約52万人だ。
もっとも、国際協力機構(JICA)は、日本の経済成長のためには30年に約419万人、40年に約674万人の外国人労働者が必要だとしている。
ただ、歴史的な円安による物価高騰で、実質賃金は26カ月連続マイナス(24年5月時点)と過去最長を記録。母国への送金を目的とする出稼ぎ労働者は、円安の影響をもろに受ける。前出の人事担当者が初めてベトナムを訪れた17年は1円が約200ドンだったが、間近では一時160ドンを切るなど、2割ほど安くなっている。(フリーランス記者・澤田晃宏)
※AERA 2024年8月12日-19日合併号より抜粋