宇野昌磨(右)とジュンファン・チャ(左)(c)THE ICE 2024

 平昌五輪で着ていたものと思われる青と黒の衣装で登場した宇野は、重厚感のあるスケーティングで『トゥーランドット』の格調高い旋律を表現していく。宇野とジュンファンはいずれもリンクを大きく使う伸びやかな滑りの持ち主で、二人が共に滑るとリンクが小さく感じるほどだ。宇野の推進力を感じる滑りとジュンファンの優雅なスケーティングが溶け合う、極上のプログラムだった。

 そして第2部の終盤、宇野は競技生活を総括するようなプログラムを滑った。フィギュアスケートを始めた幼い頃からの歩みを振り返る映像が流れた後、太鼓芸能集団・鼓童の『巡』に合わせ、宇野が滑り始める。過去のプログラムで演じた振付がところどころに配置され、様々な瞬間の宇野が思い起こされた。栄光も苦しい時期もあった長い競技生活を観客と共に振り返る、貴重なひとときだった。

 競技者としての歩みをプログラムに昇華して演じた宇野は、プロとしての自覚を胸に、新たな道を進み始めている。(文・沢田聡子)

沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。フィギュアスケート、アーティスティックスイミング、アイスホッケー等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。2022年北京五輪を現地取材。Yahoo!ニュース エキスパート「競技場の片隅から」 
 

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