内閣府発表の『令和3年版 高齢社会白書』によれば、平成30年度末で75歳以上の高齢者が「要支援」の認定を受ける割合は8.8%、「要介護」では23.0%、合計で31.8%となっています。実に高齢者の3人に1人は「要支援」もしくは「要介護」の状態にあるのです。年齢が上がるとともに、その率が上がることも容易に想像できます。決して他人事ではない数字だとわかっていただけたでしょうか?

長生きリスクの不安を抱えたくない…持続可能な「じぶん年金」

 そのように能力が落ちた状態で、投資信託を少しずつ取り崩していくのは非常に難しいだろう、と私は考えています。さらに言えば、資産を長く取り崩し続けていると、その資産がいつか枯渇してしまうのではないかと不安になるものです。65歳のときには十分あると思えた資産が、85歳になったときにはずいぶんと減ってしまい、「これで100歳まで持つのだろうか……」と不安になります。本来、長生きは嬉しいことのはずなのに、「長生きリスク」を心配する。生活費が足りないために無理な節約をする。──私は、老後にそんな不安 を抱えるのはイヤですし、倹約に汲々とする生活もしたくありません。

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 経済的に安心できる老後を送る、というゴールを想定するのであれば、 投資信託を少しずつ取り崩していく出口戦略は、目的達成に適していないように私には感じられます。

 私は本書でも、他のメディアでも、これまで一貫して「じぶん年金」をつくる出口戦略をオススメしてきました。冒頭で示した方向性の③にあたります。長期投資でつくり上げた資産から、年金だけでは老後の生活に不足する分の資金を配当金や分配金の形で継続的に受け取る仕組みをつくりましょう。それが「じぶん年金」です。

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公的年金で足りない分の2000万円をどう補うか